自動運転車のテスト走行距離トップのGM Cruise、開発組織体制強化が特許解析で明らかに

はじめに

自動運転車のテスト走行する企業の中で。2020年の走行距離が77万49マイル(約123万2000km)となってトップとなったのが、GM Cruiseである。2019年の2位から走行距離を伸ばしてトップとなった。

テスト走行する際に収集するデータは、自動運転の技術開発にフィードバックされる。
例えば、人工知能の学習データとなって、自動運転技術を賢くすることに繋がる。

高度な技術開発活動なので、発明が生まれる状況があると思い、特許解析を行ってみることにした。

企業のプレスリリースやメディアの報道では知り得ない GM Cruiseの開発者の数などが増える組織の強化体制について、特許解析で明らかにすることができたので、その説明をする。

そもそもCruiseとは

Cruiseは、General Mortors の子会社で、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコに本社を置き、テスト走行を繰り返し行っていて、世界でトップクラスの走行距離実績がある。2017年のGMからの投資で、2280億円規模の資金を調達していた。

GM Cruiseのテスト走行距離は、2020年の走行距離が77万49マイル(約123万2000km)となって、カリフォルニア州の陸運局(DMV)に自動運転車を登録する多数の企業の中で、トップとなった。前年より走行距離を伸ばしている。

テスト走行距離(出所;カリフォルニア州の陸運局(DMV))

企業距離(マイル)
CRUISE770,049
Waymo628,839
PONY.AI225,496
Zoox,102,521
Nuro55,370
AutoX Technologies40,734
Lyft32,731
Mercedes Benz Research 29,984
Apple 18,805
WeRide 13,014
Aurora Innovation12,201
DiDi Research America10,401
NVIDIA3,033
AImotive2,987
Toyota Research Institute2,875
Gatik AI 2,352

急拡大させるCruiseとGMの自動運転技術

Cruiseのパテントマップ

Cruiseは、自動運転関連の特許出願を行っている。Cruiseの米国の特許出願情報で、パテントマップを作成してみた。

横軸が出願年で、縦軸が発明者数を示した2021年3月に調査した際のグラフ。

これによれば、発明者数が、2018年に増え始め、2019年に急激に増えていることを示す特許情報であることが明らかになった。

補足)グラフの緑色の58人の発明者について

2021年3月の調査日時点での試算結果。つまり、推測地である。
出願から1.5年で公開する特許制度に基づいて試算したもので、2019年1月~8月の出願日のものが公開済みで、9月~12月の出願日のものが公開前として、試算をした。

資金調達後に増員

資金調達のプロットしたCruiseのパテントマップは、資金調達が発明者を増やすだけの技術開発者を増やしたこと示唆するグラフとなった。

GMからの資金は、100人に近い技術開発者を増やすことに使われたのかもしれない。

GM子会社の発明者数の大幅増員」まとめ

Cruiseは、GMから調達した資金を活かして、発明者を急激に増やし技術開発を強化した。」と推測するMobipaの特許解析の結果であった。

ミニレポ動画

本ページの内容を1分の動画にまとめました。例えば、お客様がプレゼンするパワーポイントの1ページにすることができます。

2021年5月11日更新 アナリスト松井

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