なぜ、自動車を出展したのか?
背景
ソニーの自動車開発が話題になっている。もしかすると、自動車メーカーになる目論見があるのかもしれないと思った方もいると思う。過去に、デジタルカメラ事業を譲渡でミノルタブランドを手に入れた経験があるから尚更なこと。ソニーが自動車メーカーになる可能性は、否定することはできない。ならば、現時点でどこまで自社開発できる技術力があるのかを調査・分析してみることにした。
背景
概要
- 2020CESで発表したEV車「VISION-S」は、「新たな感動体験をもたらすモビリティの世界」があるクルマ。Safty 、ENTERTAINMENT、ADAPTABILITYの3つの技術が示された。
- 「Safety Cocoon(セーフティコクーン)」と名付けたイメージャー技術は、オートモティブ向けに適用し、安全性能のビジョンが示された。
- 配車サービス会社をタクシー会社と共同で設立している。S.RIDE(エスライド)という配車アプリで、スマホのワンアクションでタクシーを呼べるシステムで、事業をすでに東京エリアで開始している。
- オートモーティブ向けのソニーの技術開発は、EV車の自社開発ができる技術力が現在備わっていないという分析結果になった。CES出展で注目を浴びる手段だったのではないかと”pat見”の
1.EV車「VISION-S」開発
「VISION-S」は、 ソニーが開発したEV車。プロトタイプではあるが、ソニーが開発したということで CES2020で注目を浴びた。
ソニーの発表には、「CES 2020出展について、テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」の進化を紹介 ( 出典; ソニーのプレスリリース ) と題し、「 新たな感動体験をもたらすモビリティの世界 」を目指していることが説明されている。
「VISION-S」 の技術、3つとは
「VISION-S」 サイトによれば、モビリティの進化に向かってのソニーの3つの技術について説明されていました。
- Safty (安全) のための 「知覚」技術
- ENTERTAINMENT (エンターテイメント) のための「音場、映像、そして快適なUI 」技術
- ADAPTABILITY(適応性)のための「 システムが成長する」技術
3つの技術、動画の中に潜む
ソニーの制作した2つの「VISION-S」の動画を見てみた。3つの技術を意識して探してみると、ちょっとちょっと、動画の中に潜んでいる技術が見えてくる。ご覧ください。
2.「Safety Cocoon」と名付けた安全性能のビジョンを打ち出している。
「Safty Cocoon」は、超高速イメージセンサー。オートモティブに適用する技術だとする。
「Safty Cocoon」 ホームページはこちら。
https://www.sony-semicon.co.jp/products/IS/automotive/
Safty Cocoon を紹介する動画
周囲360度を検知、早期に危険回避の準備を可能にすることで車の安全性を確保する
3.タクシー会社設立
「みんなのタクシー株式会社」を設立した。→HPへ
S.RIDE(エスライド)
S.RIDE 、 ワンアクションですぐ呼べるタクシーアプリ で、1番近くの車両をすぐ配車するサービスが東京で始まっているようである。
4. 「ソニーは、EV車を 自社開発できる?」 ”pat見”た 。
”pat見”の結果、「ソニーは、 自社開発で EV車を 今すぐ開発できる状態にない」という結論に達した。自動車メーカーのM&A、など、巨額投資をすれば、その後にあり得るが、そうでもなければ、自力での開発は難しいと言える。
理由は、オートモーティブ向けのソニーの技術力が不足するから。モーター、バッテリー、車体ボディ、トランスミッション、など EV車を開発する技術者がいない。 クルマの開発ができない訳ではなく、売れる車を自社開発することは、かなり難しい。
「VISION-S」の電気自動車のプロトタイプは、Botch、Connected、ZF、などの協業があったからできたもの。ソニーの狙いは、 「Safety Cocoon」のイメージャー技術をアピールする狙いがあった。それに、クルマの中 で、音楽や映像、ゲームなどのエンターテイメントのある快適な空間にする今後の取り組みをアピールする狙いがあったのではないかと思う。
2020年2月9日更新 アナリスト 松井