GAN(Generative Adversarial Networks:敵対的生成ネットワーク)とVAE
(Variational Autoencoder:変分自己符号化器)である

深層生成モデル
機械学習でクラス分類を解くための手法には識別モデルと生成モデルがある。識別モデルはデータの属
するクラスを同定するが、そのデータがどのように生成されたかは考えない。一方、生成モデルはデータが
どのように生成されたか、その過程までモデル化する。深層学習に関して、前述のCNN等は識別モデルで
あるが、生成モデルにおいても著しい進展があった。深層生成モデル(深層学習の生成モデル)として特
によく知られているのが、GAN(Generative Adversarial Networks:敵対的生成ネットワーク)とVAE
(Variational Autoencoder:変分自己符号化器)である。
2014年にIan J. Goodfellowによって発明されたGAN37)は、従来の生成モデルではできなかった高精
細な画像を生成できることから、大いに注目された。 GANは、生成モデルGと識別モデルDから構成され、
Dは訓練データとGが生成したデータを識別するように訓練され、GはDが間違えるように訓練される。 G
とDを切磋琢磨させるように訓練を進めることで、精度のよいデータ生成が行える。2015年にはCNNを
適用したDCGAN(Deep Convolutional GAN)38)が提案され、精度のよいデータ生成が行えるようになっ
たことで、深層生成モデルへの取り組みが活発になった。ラベル付きでデータを生成するConditional
GAN39)、低解像画像を高解像化するSRGAN(Super Resolution GAN)40)、モノクロ画像をカラー化
したり、日中の画像を夜に変えたりする等、画像間の特徴を変換するpix2pix41)、CG画像から実画像に
変換するSimGAN42)等、応用も含めて多数のモデルが提案されている43)。 GANは、敵対的なコスト関
数を最適化するため、学習の安定性が課題とされている。また、動画中の人物を別の人物に置き換えるツー
3 完全情報ゲームとは、全ての意思決定ポイントにおいて、これまでの行動や状態に関する情報が全て得られるタイプの展開型
ゲーム(ゲーム木の形式で表現できるタイプのゲーム)である。
CRDS-FY2021-RR-01 CRDS 国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター 47
人工知能研究の新潮流 ~日本の勝ち筋~俯瞰詳細
注目研究開発領域の
2
ルDeepFakes44)(およびその類似ツール)による人権侵害被害が社会問題化している。