Boschが開発する自動駐車システム、開発競争する相手はいるのか?

Boschの発表内容世界初:ボッシュとダイムラーが人間による監視不要のドライバーレスパーキングに関する承認を取得

  • ボッシュとダイムラーによる自動バレーパーキングが、世界初となるSAEレベル41のドライバーレス完全自動駐車機能として関係当局から承認
  • シュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ博物館の駐車場で日常的に利用されるシステムに適用
  • 自動バレーパーキングシステムは完全に独立して車両を駐車スペースまで操作し、また駐車スペースから返却
  • ボッシュがインフラ、ダイムラーが車両技術を提供
  • シュトゥットガルトの行政当局とバーデン・ヴュルテンベルク州交通省、さらにドイツの技術検査協会であるラインラントTÜVが連携して特別に承認

シュトゥットガルト(ドイツ) – ボッシュとダイムラーは、シュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ博物館の駐車場に設置した自動バレーパーキングについて、バーデン・ヴュルテンベルク州の関係当局から承認を受けることができ、自動運転に向けた1つのマイルストーンを達成することになりました。この自動バレーパーキングサービスはスマートフォンのアプリからアクセスするだけで利用でき、また安全を監視するためのドライバーは不要になります。これにより、世界初となるSAEレベル41のドライバーレス完全自動駐車機能の日常利用が正式に承認されることになりました。

「関係当局のこの決定により、自動バレーパーキングのような革新技術をドイツで初めて利用できるようになりました」とボッシュ取締役会メンバーのマルクス・ハインは述べ、さらにこう続けました。「ドライバーレスの運転と駐車は、未来のモビリティの重要な構成要素です。自動バレーパーキングは、私たちがこの開発路線に沿ってどれだけ歩みを進めたかを如実に示したものだと言えます」

「バーデン・ヴュルテンベルク州の関係当局からこの承認を受けたことで、世界中の駐車場の駐車サービスについて今後承認を受けるための重要な前例となるでしょう」と述べるのは、ダイムラー で運転テクノロジーと自動運転の責任者を務めるMichael Hafner氏です。「自動運転のパイオニアである私たちのプロジェクトは、自動バレーパーキングが今後量産体制に移行する道筋をつけることになりました」

「自動駐車システム」とは

駐車場

駐車スペースを探し自律走行で駐車する自動の駐車場システム。自動バレーパーキング(Automated Valet Parkingの略)と言われたりする。

そもそも「 Valet Parking 」とは、 ホテルやレストランの駐車サービスで行われているサービスで、係りの人に 車のカギを預け代わりに車の駐車をしてくれるサービスのこと。自動バレーパーキング は、係の人がいない、自動で行う駐車システムのことである。

システムのことがイメージできない方は、まずは、Mercedes-Benz/Bosch の制作したYouTubeを見てください。

「Automated Valet Parking System」

このように、駐車は、係員(人)ではなくスマホで指示すれば、勝手に自律走行をし駐車してくれるというもの。

業界の動き

政府は、「 官民 ITS 構想・ロードマップ 」を作成し、その中でも 「自動バレーパーキング」 が取り上げられていて、強いニーズがあるとされている。

2019年6月に 自動走行ビジネス検討会が発行した資料を紹介する。

海外の動き

技術開発やテスト運用をし、検討が進められている。

上述したMercedes-Benz/Bosch は、 Automated Valet Parking System として、取り組んでいる。一方、 自動駐車に限定したものではないが、無人運転として、注目される海外の動きには、「Waymo One」「 GM Cruise 」「 Sensible4 」「 Smart Shuttle Project 」がある。

現在の実用化

トヨタの自動駐車機能

実用化されたのは、駐車スペース前でボタン一つで自律走行し駐車する自動駐車機能。

トヨタの アドバンス パーク

この機能は、自動バレーパーキングの一歩手前の技術レベルにあると言える。遠くにある駐車スペースを探すことや、そこまで自律走行する機能までは、まだ実用化されていない。

開発の動き

自動バレーパーキングは、駐車スペース前でボタン一つで自律走行し駐車する自動駐車機能というよりは、遠くにある駐車スペースを探すし、そこまで自律走行するというレベルだとすると、実用化の一歩手前にあると言える。残る技術課題は、コストと安全性。特に、コストを下げ利益を上げられるところまでいけば、ビジネスとして加速すると思われる。 なぜならば、公道での無人走行は、道路交通法などの法的な問題が実用化に向けての大きな課題になるが、駐車場が私有地の場合が多いことから、法の縛りが少ないといえる。そうはいっても、駐車場の経営者の責任となりやすいので、二の足を踏みビジネスとしての加速は、まだまだ。万が一の事故に対する保険や事故を起こさない技術のレベルアップが今後も継続することになる。

Mercedes-Benz の取り組みは、車両側に機能を持たなくても駐車場内のカメラや通信などにより、自動駐車できるシステムを目指している模様。

一方、日本での動きは、 自動走行ビジネス検討会 「自動走行の実現に向けた 取組報告と方針」 Version 3.0 によると、車両と駐車場の両方に機能を持たせることを考えている。また、当面の目標は、自動バレーパーキング専用駐車場で専用の車両が自動駐車できることを目指しているという。街の駐車場にだれもが自由に自動バレーパーキングする時代には、まだまだ先になると予測される。

□ 特許情報でみる技術開発の動き

自動バレーパーキングの技術開発は、2014年~2017年にかけて、活発に行われたことが分かった。特許出願を伴い技術開発を進める主な企業は、 Mercedes-Benzと組んでいる「ROBERT BOSCH」であった。2015年、2016年に技術開発が活発になって特許出願がされていた。他には、「FORD」が 2016年に特許出願をして活発化していた。日本の企業は、まだまだ、活発化している傾向は見えなく、トヨタが、特許出願を 最近になって始めている。

  • 補足1)本グラフの見方;横軸;開発時期、縦軸;技術開発のアクティビティ
  • 補足2)主に、2018年、2019年の出願数は、未公開分の出願が存在するので、より増加する。
  • ※ 条件
  •  1)調査日;2019/09/30
  •  2)対象国;米国特許の出願が対象。
  •  3)開発年=出願年とした。ただし、優先権出願は優先日でカウントした。
  •  4)検索方法;公報全文のキーワード”Valet Parking”を含む公報
  •  5)出願日の限定;2010/01/01~

米国特許ベース

日本国特許ベース

  • ※ 補足・条件
  •  1)調査日;2019/11/3
  •  2)検索方法;公報全文のキーワード”Valet Parking”を含む公報
  •  3)出願日の限定;2010/01/01~
  •  4)グラフ作成 横軸;開発時期、縦軸;技術開発のアクティビティ
  •  5)2018年、2019年の出願数は、未公開分で今後増加する可能性がある。

2020年1月6日更新 アナリスト 松井