開発遅れを招く経営課題

オープンイノベーションが興きている自動運転車の商品化遅れはなぜ起きるのか?

世の中にない初めての商品を出すからということかもしれない。自律走行車の事故や法的な問題など、商品化の遅れの原因は、多岐にわたると思う。

現時点で、高速道路を普通に走るくらいならば、無人自律走行できる技術レベルにあるといえるが、公道で工事現場の横を走るとか、あおり運転された際にうまく対応した走行ができる技術レベルにはないと思う。

だから、高速道路限定の自律走行などの限定運用を政府や自動車メーカーは目指しているのが、現状だといえる。

ここでは、リサーチ不足が商品化の遅れの原因になることを説明する。原因の根っ子がどこにあるかを解説する。オープンイノベーションが興きている業界に限る話とした方が理解しやすいと思う。

経営課題になりかねない問題は、企業の構造的な問題からきているという理由をこの後説明する。自前主義で技術開発してきた日本の大手企業に生じやすい組織的な問題だと思うので、この後、詳しく説明をする。

経営課題とリサーチ不足の関係

No

経営課題

不足するリサーチ

無駄な技術開発をしてロスしてしまう。

優れた技術の開発動向

2

競合に先を越される。

 

技術開発で遅れを取る

競合の技術開発動向

優れたスタートアップ企業の買収・提携を先に取られる。

優れた技術を保有する小さな企業の動き

技術開発のフィジビリティが得られなく、商品化が遅れる。

同じ失敗を繰り返さないために、先に開発した他社の失敗事例の分析が必要。

リサーチ作業現場と企業の構造的な問題

No

リサーチ作業

企業の構造的な問題

1

より広いリサーチが不可欠で膨大になる

会社の方向性を決めようとする重要な戦略の検討に時間を割ける体制がない。

2

弱み技術のリサーチを一時期的に行うから難しい。

専門知識がある担当者が不在。

3

担当者数が少ない。

上流活動が疎か。

4

他部署との協力が難い。

ž   縦割り組織だから。

ž   失敗確率が高いから。

5

外部委託がし難い

ž   戦略の秘密性があるから

ž   戦略検討に使える整理まで行う外注が存在しない。

解決;本サイトが選ばれる理由。

No

選ばれる理由

お客様にとって

1

日々のリサーチを

専門家が行っている。

ž   ノイズ情報に振り回されずに済む。

ž   弱み領域のことを「いまさら聞けない」ことも含めて、短期間で理解できる。

2

業界全体を広く調べて業界構造・階層に分けたレポートがある。

ž   サイトのすべてのレポートを読むだけで、業界を俯瞰できる。

ž   新人教育などに使いやすい。

3

日々更新で、レポートが新鮮。

ž   他社の動きを見逃さない。

4

調査結果の羅列ではなく、整理・まとめがされている。

ž   読み易く、理解が早い。

ž   戦略検討に使える。

5

この業界では受託しない。独自企画でリサーチし、レポートを制作している。

 

ž   外注依頼が不要で、秘密情報を出さなくて済む。

ž   外注待ちなし。タイムリーに入手。
 欲しいタイミングで上司に報告できる。

2020年2月23日更新 アナリスト 松井

自動運転参入のリスク・チャンス、PEST分析4視点で測る

政治(P)、経済(E)、社会(S)・技術(T)が本業界に与える影響と、逆に、本業界が与えるPESTに与える影響の両方について、分析したので、その結果を説明する。

政治(P) が影響する理由

政治(P)がこの業界に与える影響は大きく、逆に、業界が政治に与える影響は大きい、といえる。

なぜならば、本業界の発展は、民間企業だけではできない側面があって、国に求められることが多く、かつ、国益の面も含め政府としては投資を増やしていくことが重要になるといえる。

例えば、

  • 法整備は、政治そのもの。それをしないと無人での自律走行は認められない。
  • 道路に設置する信号機やビーコンといった交通システムのインフラは、民間企業が決められない。国の税金で行う。
  • 5Gなどの通信も、インフラで使われる方式に準拠せざるをえない。カーナビに組み込まれることになる。
  • 日本政府のモチベーションは、国益を支える自動車産業が海外に取られてしまうことを避けたい。技術が変わることにより、仕事が海外流出してしまう懸念があるので、日本の道路などインフラの整備に投資を増やそうとすることは、必然である。
  • 具体的には、国土交通省、経済産業省、総務省、などが省庁の垣根を越えて取り組み、それを内閣官房が主導し、民間企業との意見交換を重ね、道路の整備や信号機、VICS、などの交通システムの整備、通信方式の標準化、などの整備、それに、道路交通法の整備など、政府が主導している情報がある。

このように、政府は、積極的に推進していて、政治が与える影響は大きいといえる。

 

経済(E) が影響する理由

経済(E)がこの業界に与える影響は、国の予算などが関わるので、自動運転の実現時期が変わる恐れがるが、逆に、この業界の進展が与える経済への影響は、大きいといえる。

なぜならば、経済とインフラの整備の計画は関係性が高いから。経済が悪くなると、インフラ整備のスピードが落ちるのは当然のことである。

一方で、自動車産業そのものが経済を支えている現状を踏まえると、自動運転によって、整備が必要になるインフラ(道路、交通システム、等)の整備が必要になり、巨額の投資が投入されていき、経済が回ることが期待できる。

例えば、

  • 海外メーカーに負けたならば、仕事が海外に流出する。
  • インフラの整備への投資は、民間企業にお金が回る。
  • マイカー購入を控えて若者には、シェアードサービス、ライドシェアなどにより、クルマの利用は増える。
  • ガソリンエンジンが減りガソリンスタンドが減る方向にある一方で、充電スタンドが増えることが推測され、経済全体で見れば、この業界の発展にともなって、経済も良くなる方向に寄与するのではないかと思う。

このように、自動運転の業界の進展が与える経済への影響は、大きいといえる。

 

社会(S) 所有から利用の時代へ

生活者のライフスタイルや意識の変化といった社会(S)への影響は、大きいといえる。

なぜならば、モビリティは、生活に欠かせないことだから。その便利さや安全性が与える影響は大きい。

例えば、

  • 無人の自律走行車が交通事故をおこせば、問題視する報道が増える
  • 老人による事故が多発する問題などは、軽減される方向が期待されている。
  • マイカーを待たない若者は、配車サービスやライドシェアなどを利用し、所有から借りるに変わっていく可能性がある。
  • タクシーは、無人化など人件費削減につながり、運賃が安くなったり、或いは、スマホで呼べば来るクルマなど利便性が増す期待がある。
  • 宅配便の人件費不足は、無人化などで軽減し、宅配業者の業務効率が改善する。
  • コンビニエンスの宅配サービスなども、無人化されれば、店に買いに行かない時代がくるのかもしれない。
  • 技術開発者は、エンジンからモーターにシフトすることで、メカから電気・IT人材の需要が高まる可能性がある。
  • スタンドは、ガソリンから充電に変わる。
  • カーナビ予約は、レストラン予約まで行くなど、それほど、先のことではないと思う。

このように、暮らしにあたえる影響は多大だといえる。ただし、影響を感じる前に、安全性の壁を超える必要があり、もう少し時間がかかるのかもしれない。

 

技術(T) が鍵を握る

技術(T)がこの業界に与える影響は、大きい。

なぜならば、技術が未完成だから。完全自動運転の完成には、現時点至ってなく、普及という時期までは10年以上かかるといえる。

例えば、

  • 安全性が確保できていない、AI技術の無人運転には、不安がある
  • 高価、LiDARセンサーだけとっても、普及価格には程遠い。
  • インフラ整備、巨額の国の予算が必要で、時間がかかる。
  • 通信の標準化、なども、コストや利便性の面で時間がかかる。
  • 電気自動車の急速充電技術や、スタンドの整備などにも時間がかかる。
  • AI技術の利用は、画像認識で完成に近いが、運転制御への利用には時間がかかる。

このように、技術課題が多くあり、逆に、この技術実現が業界に与える影響は大きいといえる。

  1.  

最後に

ポイントは、完全自動運転の実現。それまでは、技術開発にフォーカスしたウォッチングが重要になる。

2019年11月22日更新 アナリスト 松井

関連記事

国土交通省 が考える「Autonomous」についてリサーチした記事です。

総務省 が考える「 Connected(コネクテッド)カー 」についてリサーチした記事です。

それ以外にも 自動運転などの「CASE」の範囲をリサーチしたレポートを50以上取り揃えています。HOMEのメニュー一覧で選んで、閲覧してください。

そもそも、なぜCASEなのか?

CASEの4つに向かう前に、今の何が悪いのか? 原点回帰して、自動車業界が抱える現在の課題について、リサーチしてみた結果を説明する。

調査範囲

CASEの4領域を対象にしました。

なぜならば、自動運転業界の中のどのような商品・サービスを企画するにしても、この4つの領域の情報が不可欠だといえるから。

分析結果

(C) 通信が生活に浸透した

スマホの普及で、通信がない生活を不便に感じるようになった。スマホは、常に持ち運ぶ人がほとんど。他の通信に、ETCがあるが、これも普及した。料金を払う手間がなくなった。人がいる料金所が減り、運営業者は、人件費を抑えられるようになってきたのが現状である。

しかし、まだまだ、クルマを運転中に通信に期待することが多くある。

運転中は、電話ができない。LINEができない。カーナビが操作できない。渋滞情報がリアルタイムで把握できないで渋滞にはまる。という現状がまだあり、5Gなどのインフラ整備やクラウドなどの技術進歩、ビッグデータ処理など、クラウド上での処理能力の向上などの技術進歩を活かした車に通信を搭載した新たなアイデアが多くある。

だから、 「Connected(コネクテッド)」。V2Xといった新たな通信機能の搭載により、クルマでの移動する生活空間が変わろうとしている。

(A)AI技術の急激な進歩

当時、AI技術を使ったGoogle(現在のWaymo社)の自動運転車のテスト走行が話題になり、自律走行車の実用化が見えてきた。しかも、ディープラーニング、クラウド、GPU、などの電気・ソフトウエアの技術が目覚ましいスピードで性能がアップするなど進歩してきている。

だから、 「Autonomous(自動運転)」 が実現できることが期待されている。

(S) クルマは借りる時代

配車アプリサービスが成長を果たした。Uberビジネスが大当たりに、しかもワールドワイドに展開をし始めている。

一方、 「日本の若者のクルマ離れ」がある。マイカーを持たない人が増えている。

配車アプリサービスは、マイカーを持たない人が利用する可能性が高い。一般駐車場にあるカーシェア用のクルマならば、スマホで予約をしたり、身近な駐車場に返却するだけで便利。支払いもカード決済ができ現金の支払い作業が不要と便利。無人の自動運転車が実現した際には、スマホで呼べば来るクルマとなって、大変便利になる。 運営する業者にとっては、人件費が少なくて済むのが配車アプリサービスのビジネスモデルといえる。

だから、「Shared & Services(シェアリング)」

(E) 排ガスが嫌われた

国際的な問題として、温暖化問題が環境汚染によるものとされている。その汚染要因に、自動車の排気ガスがある。排ガスを減らす国間の約束になり、自動車メーカーの対応として、内燃機関によるエンジンそのものの販売を減らす方向性があると思われる。電気自動車(EV)は、排ガスゼロとされていて、ある自動車メーカーはそれをPRとしている。さらに、ガソリン代より安いランニングコストでもあって、タクシーなどがEVを採用するケースが出てきていて、需要も高まってきている。

だから、 「Electric(電動化)」 が期待されている。

IT&通信&電気の技術進歩の潮流が自動車業界を動かしたといえる

更新日;2019/11/19